以前のブログ記事ではドイツでパティシエになる方法について書きました。その記事で少し触れましたが、今回はドイツの職業訓練制度・アウスビルドゥング(Ausbildung)を終えるときに行われる卒業試験に関して、僕の経験をもとに書いていきたいと思います。
ドイツでパティシエ(コンディトア/Konditor)の資格を取りたいと考えてる方は、ぜひこちらのブログ記事をご参考ください!
<結論 パティシエの卒業試験>
筆記と実技がアリ。
両方受かって初めてプロのパティシエになれる!
アウスビルドゥングを終える前に
3年間、店と学校を行き来して、やっと長い修行の期間が終わりを迎えます。とはいえ最後まで気は抜けません…試験に受かってやっとプロになれるのですから。
試験の申し込みなどは、基本的に学校と職場がやってくれます。試験代も基本的にはお店が負担します。
試験の日も決まって、あとは勉強するだけだ、と張り切るのはいいのですが、実はその前に一つ終わらせなくてはいけない仕事があります。それがBerichtsheft(ベリッヒツヘフト)です。
Berichtsheft(ベリッヒツヘフト)は、週ごとに、その週学んだこと、やった業務、レシピなどを書き記すノートです。要は週ごとにつける業務日誌のようなものですね。
このノート、何が重要かと言うと、3年分の記入とお店の責任者のサインがない場合、試験を受けることができません。
結構忘れている人が多いです…試験の前になって、数カ月分を書いてなかった分を一気に書くようシェフにサインを求めて、怒られたという人もいましたね笑
通常は毎週書くのが基本なのですが、毎週やる業務も似たり寄ったりなので、書く内容を探して書くのも地味に大変です…。
筆記の試験
基本的には筆記の試験が先に行われます。州や地区によって違いますが、僕の場合は1日で3教科受けた記憶があります。通っていた学校で試験を受けました。
10年以上前の話なので、かなりうるおぼえなのですが…
数学、経済、栄養学や衛生学などの教科が入り乱れている感じの試験だったと思います。
たとえば僕の試験のテーマがバウムクーヘンだったのですが、問題が
- バウムクーヘンの典型的な材料を述べよ
- バウムクーヘンの典型的な作り方を述べよ
- バウムクーヘンを保存する場合の注意事項は?
- この材料でバウムクーヘンを作る場合、何%の調理損失が出る、その場合何gのバウムクーヘンができるか
- この材料で作った場合の、販売額を述べよ
などなど、バウムクーヘンに関する問題がたくさんあったのを、なんとなく覚えています。
ちなみにバウムクーヘンだったのは偶然で、レープクーヘンだったり、シュバルツベルダーキルシュトルテだったりと、テーマのお菓子は毎年変わるようです。
実はドイツでバウムクーヘンを作っているお店は少ないです…なのでなぜバウムクーヘンなんだーって同級生が怒っていたのを覚えています笑。
残念ながらまだ、僕のチャンネルでバウムクーヘンは紹介していないので、参考にできるものはありませんが…レープクーヘンとシュバルツベルダーキルシュに関してはこちらの記事をご覧下さい!
他にはアウスビルドゥングのシステムに関しての問題や、売値や買値の計算、ドイツの経済システムなどだったと思います…あとは覚えてません🙇
実技の試験
さて筆記の試験が終わり、実技の試験を受ける時が来ました。
僕はHandwerkskammer(ハンドベルクスカンマー)という、その街で技術職のアウスビルドゥングを統括、管理している場所で試験を受けました。ちなみにここにはアウスビルドゥングの間にも何回か来て、お店で学べない技術、例えば飴細工やチョコレート細工などを学びました。
実技試験は2日にかけて行われ、作業時間は1日目が8時間、2日目が4時間でした。
作らなくてはいけないものは、事前に知らされているので、それを時間内に作っていきます。自分でテーマを決めて、そのテーマに応じてデコレーションを考えてきます。ちなみにその時作ったのは、
- 3段のケーキと飴細工、またはチョコレート細工で作ったデコレーション
- 4種類のボンボンショコラ
- 3種類のクッキー(フィリング入り)
- 2種類のマジパン細工
- 1種類のデザートを2種類の飾りつけで
だったと思います。これも州や地区でかなり変わるようで、キッシュを作ったり、クロワッサンを作ったりという場合もあるそうです。
テーマは好きなものでいいので、同級生たちは例えば、「チェス」、「エジプト」、「天国と地獄」なんていう人もいましたね。
ちなみに僕は「ジブリ」をテーマに選びました!マジパンでトトロ作ったりしましたね笑
たまたまですがジブリを知っているドイツ人がいて、とても驚きました!
結果発表
試験の終わった後、実技の試験はその場で合否が言い渡されます。筆記の試験に関しては、試験日から1か月後くらいに結果が来たと思います。
ドイツの成績は、日本とは逆に1が最高評価で、6が最低評価です。6はもはや0点に近いですね、正直受けてないレベルです。5も落第点ですが、5とギリギリ合格の4は、点数にして50点がラインとなります。つまり50点以上取れば合格と言うことです。
なので、意外と試験は簡単です💦僕の代で落第した人はいませんでした。
試験に受かるとGesellenbrief(ゲゼレンブリーフ)という、卒業証書が渡され、はれてコンディトア(ドイツのパティシエ)のプロとなります👏
コンディトアとパティシエの違いに関してはこちらの記事を参照ください。
試験に非合格だった場合
とはいえ、実際試験に受からない人もいるわけで、その場合はどうなるのでしょうか?
試験に受からなかった場合は、半年後の試験に再挑戦することができます。受からなかった試験だけなので、実技は受かったけど、筆記は落ちた、と言う人は筆記だけ受けなおすことになります。
ちなみに試験は2回まで、受けなおすことができます。つまり1回目を含め、3回試験に落ちたら終わりです。
まとめ
ドイツでパティシエになるために受ける試験に関してまとめてみました。僕の経験と偏見が少し入った記事になってしました…とはいえ日本の専門学校とは違うと思うので、もしドイツでパティシエになりたい!と言う方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。
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