ドイツでは1ℓの牛乳パックがおよそ0,7€~1,5€(今日のレートで86円~184円)で販売され、沢山のメーカーや種類があります。今日はそのひとつの、Haltbare Milch(ハルトバーレミルヒ)についてのご紹介です。
ドイツは乳製品が物凄く安く手に入ります。チーズやヨーグルトの種類も豊富です。
そして牛乳も安さ、オーガニック、スーパーのプライベートブランド、地域独自ブランド…たくさんの種類が販売されています。ドイツに越してきたときはその種類の多さに、とても困りました。
どの牛乳の何がいいのか、まったくわからない…また驚いたことに、スーパーで牛乳が常温保管されています!!(当時はかなり衝撃でした。)
今日は常温保管が可能なHaltbare Milch(ハルトバーレミルヒ)について、詳しくご説明します。
<結論 Haltbare Milchとは>
超高温殺菌・熱処理を行い、牛乳を腐らせずに美味しい味を保つことに成功した牛乳。
それがドイツでは一般化され、低価格で販売されています。
言葉の意味
まずはドイツ語を訳してみます。
Haltbar
ドイツ語の形容詞です。ここでは食品が長持ちする、持ちのよい、という意味です。
Milch
牛乳という意味の女性名詞です。英語のMilkと似ていますね。
ドイツ語の文法ルールがあり、Haltbarの語尾にeが付き、Haltbare Milch で、持ちのよい牛乳という意味になります。
高温短時間殺菌処理
まず、皆さんご存知の通り、牛乳の賞味期限はとても短いですよね。常温であればすぐに悪くなってしまいます。
そこでドイツでは熱処理を行い、鮮度や美味しさを保っている牛乳=Haltbare Milchという種類を開発し、一般的に流通しています。
またその熱処理にも大きく分けて3種類に分類されています。以下の表でまとめてみました。
低温殺菌(Pasteurisieren) | 超高温殺菌(Ultrahocherhitzen) | 殺菌(Sterilisieren) | |
温度 | 72~75℃ | 最低でも135℃ | 最低でも110℃ |
時間 | 15~30秒 | 3~4秒 | 15~30分 |
常温保存可能期間 | 2~3日 | 数週間 | 1年以上 |
いわるゆ表の真ん中の超高温殺菌法が使われた牛乳を、Haltbare Milch(H-Milch)とドイツでは言われています。そして常温でも腐ることなく販売され、実際に僕たちも家で飲んでいます。
賞味期限
実際に販売されているHaltbare Milchと、新鮮な牛乳(Frische Milch)と、賞味期限を比較してみます。
まずはHaltbare Milchです。
賞味期限が2020年11月17日となっています。
本日が9月23日なので、開封しない状態でおよそ2か月後の日付でした。
一方、新鮮な牛乳(Frische Milch)です。
2020年10月1日までです。本日9月23日からおよそ約一週間の日付となっておりました。
このように、Haltbare Milchの持ちの良さは普通の牛乳に比べて、およそ約14倍ということがわかりました。
パック
Haltbare Milchのパックの内側には、このような銀のアルミホイルが張られています。
このアルミホイルは、酸素と光によって牛乳の品質が悪くなるのを防ぎ、牛乳の成分と美味しい味を維持する役割となっています。
ちなみにFrische Milchの方は、日本でもなじみのある紙パックです。
牛乳とは関係ない内容ですが、ドイツはエコ精神の先進国だと思います。プラスチック削減努力、リサイクル、再生紙の使用がとても多いです。
このように牛乳パックも工夫することで、Haltbare Milchの品質管理を徹底しています。
価格
まずはHaltbare Milchの価格です。(写真のように、スーパーで冷蔵庫ではなく、常温で販売されています)
1,19€です(約146円)。
次に、Frische Milchの値段です。(写真だとわかりにくいですが、冷蔵庫の中に商品があります)
全く変わりません。とても手頃な値段です。
僕たちは常温保存をする習慣があるので、牛乳はHaltbare Milchをまとめ買いすることが多いです。
味
ぼくたちの感覚ですが、Haltbare MilchとFrische Milchに味の違いは無いように思います。
しかしHaltbare Milchのほうが、若干重く感じます。また高温処理されているので、Frische Milchよりも、ビタミンが少なくなっているようです。
やはり、Frische Milchの方が新鮮なさっぱりした味わいを感じます。
僕は自宅で楽しむお菓子作りにおいて、Haltbare MilchでもFrische Milchでも、変わらないという意見です。
ただ、アイスクリームなど牛乳の味がとても大事になってくるものに関しては、もっとこだわる必要があります。
注意点
最後に、Haltbare Milchに関する注意点です。
- 開封後は必ず冷蔵庫保存にしてください。空気とふれることで、菌が増殖し始めます。
- 購入後は室内暗所での保管となります。超高温殺菌処理されているとはいえ、日当たりのよい所に置いておくと腐ります。
- また35度を越すような夏の暑い日だと、常温保存でも腐った経験があります。夏は冷蔵庫保存にしましょう。
まとめ
今回はHaltbare Milchについてのご紹介でした。
しかし前回の小麦粉物語同様、ドイツの乳製品も非常に奥深く、たくさんの種類や歴史があります。このように小さいテーマに分けて、今後もご説明していきますね。
私たちにとって、とても身近な存在である牛乳のドイツ事情でした。ぜひご参考ください!
そしていつか日本でも、安い常温保存可能なの牛乳が流通したら嬉しいなと思っています。
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