ドイツパンには酸味のあるパンが多い印象があるかもしれません。多くのドイツパンに使われるサワードウは、実は家でも作ることができます!
もし本格的なライ麦を使用した酸味のあるドイツパンを作りたい場合、サワードウ(サワー種)は必要不可欠な材料の一つになります。
ドイツではスーパーでもパウダーや液体で売っていますが、自分だけのサワードウを育てていくのも楽しいですよ!
サワードウにはいくつか種類がありますが、今回紹介するのはその中でも比較的時間をかけずに作れるタイプです。マイルドな酸味が特徴で、ドイツ語ではEinstufen Sauerteig (アインシュテューフェンザウアータイク)、と呼ばれています。
サワードウとは?
サワードウは天然酵母の一種であり、中種でもあります。
粉と水で作ることができ、空気中の自然の微生物が発酵を助けてくれます。今回僕のレシピではライ麦で作りましたが、小麦粉やスペルト小麦でも同じように作ることができます。
オススメはどの種類の粉でも全粒粉を使用することです。全粒粉には麦の皮も多く含まれていて、これは発酵力を強める効果があります!
効果
サワードウは生地を膨らませる効果があり、イーストの代わりになります。
特にライ麦粉を使用する場合は、普通の白パンのように作るとグルテン膜をうまく生成することができません。そのまま焼くと、発酵しないので薄く、中まで固いパンが出来上がります。
そこでサワードウを加えることで、より発酵させ、パンを膨らませることができるようになります。
時間をかけて作ったサワードウは酸味があり、パンに適度な酸味を与えてくれます。
今回のEinstufensauerteigは割とマイルドな方ですが、更に日数をかけて作るVollsauer(フォルザウワー)などは、さらに酸味が強くなります。
他にも乾燥に強くなり、パンを長持ちさせる効果もあります!
スターターの作り方
サワードウを作るには、まずはAnstellgut(アンシュテルグート)というスターターを作ります。
このスターターはレシピによってかかる日数は違いますが、3日~5日でできます。
僕のレシピでは、Anstellgutを作るのに3日を要します。
- 10gのライ麦粉、10mlの30度から35度くらいの水を合わせ、密閉できる容器に入れ、24時間、26度から30度の温度のところに置いておく
※僕は室内の日当たりのよい場所、しかし北側の窓際に設置しました。
ぜひご自宅で一定の気温が保たれるような場所を見つけてみてください!
- 更に前日と同じく10gのライ麦粉、10mlの水(前日と同じ温度)を加え、密閉し24時間、26度から30度の温度のところに置いておく。
- 2日目ではまだ発酵はほぼ確認できないことが多く、前日と変化がありません。
- この日は20gのライ麦粉と20mlの水を加え、12時間から16時間、26度から30度の温度の場所に置いておきます。
- 3日目にはすでに発酵が確認できます。泡がぶつぶつできているのが発酵している証拠です。これでAnstellgutは完成です!
注意点
- きれいなグラスを使って育てること。雑菌が入ると、酸味が異様に強くなり、不快なにおいを発するようになります。匂いがきつくなりすぎたり、変だなと思ったら、最初から作り直すことにしましょう。
- 温度をなるべく一定に保つこと。できれば上記の温度内に置いておくのが、一番失敗なくできると思います。
サワードウの起こし方
サワードウを作るときは、100gのライ麦粉と100mlの水、そしてよく発酵したAnstellgutを10g加えて混ぜます。そして同じように12時間から16時間、26度から30度の場所に置いておきます。
今回はスターターから一度しか発酵させないのでEinstufe(1段階)のサワードウになります。
作るパンによってサワードウの配合は異なりますので、他のレシピへの応用は難しく、上級者向けだと思います。
残ったAnstellgutは他にもいろいろなパンに使えます。よくパンを焼く人は、以下の保存方法に沿って、冷蔵庫に入れておくのがオススメです。
このサワードウを使用したパンの作り方をYoutubeに公開しています。ぜひ合わせてご覧ください!
保存方法
きっちり密閉できる容器ならば、Anstellgutは最長で2週間冷蔵庫で保管できます。
たいていのレシピでは、Anstellgutをすべて使い切ることはありません。つまり、これを育て続けることで、また新たなパンを作ることができます。さらに長時間寝かせたスターターは、発酵が進みやすくなり、味もよくなります。
そのため、ドイツのパン屋では昔から継ぎ足して使っているところも多いです。あるいは作ったサワードウの一部を保存しておき、それを新たなスターターとして、そこからまた継ぎ足していくなど、いくつか手法があります。日本で継ぎ足して作る秘伝のたれみたいな感じですね!
冷蔵庫で保存しているスターターは2週間の間に一回リフレッシュさせる必要があります。10gのAnstellgutを取り出し、50gのライ麦と50mlの水を加え、24時間発酵させます。リフレッシュさせたAnstellgutはまた2週間冷蔵庫で保存でき、最初に作ったスターターと同じく利用することができます。
残りのAnstellgutはパン作りに使ってしまうのがオススメです。
インスタント
ドイツのスーパーではすでに完成しているサワードウをパウダー状か液体状で買うことができます。使い方はそれぞれ異なるので、パックの表記をご覧ください。
特にパウダー状のものは発酵力がほとんどない場合が多く、たいていの場合は味と風味を加えるだけのものになります。
まとめ
サワードウを起こすことは本格的なドイツパンを作る際に、避けては通れない道です。僕自身、正直あまり自分で作った経験はありませんでした。今回の生地の動画を撮るために、何度か作り直しました。サワードウが成功しない場合は、大体温度管理に原因があります。
あと正直、匂いが非常にキツイので…昔勤めていたパン屋の冷蔵室はすごい匂いがこもっていたのを、覚えています。
自宅でいろいろ試していただき、ちょうど良い場所を見つけ、ぜひ育ててみてください!ドイツでは作ったサワードウにペットのように名前を付けて、愛でながら育てる人もいます。いずれまたサワードウを使用したパンをご紹介したいと思います!
参照元
- Teubner. ”Brot”. 2016, p66-71
- https://www.fairment.de/wissen/was-ist-sauerteig/
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